映画

熊は、いない

第７９回ヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞。政府からの度重なる弾圧に屈することなく独自の映画製作活動を続けるイランの名匠、Ｊ・パナヒ監督の注目の話題作。

これまでカンヌ、ベルリン、ヴェネチアの3大国際映画祭で、いずれも栄えある賞に輝き、世界的に高く評価される一方、2010年、反体制的活動により、イラン政府から今後20年間の映画製作の禁止を命じられることになったパナヒ監督。その苦境を逆手に取って、その後も数々のユニークな傑作を放ってきた彼が、今回もその反骨精神を存分に発揮。助監督を通じてリモートで最新作の撮影を続ける一方、思わぬ事態に巻き込まれていく自身の姿を並行して描き、イラン社会の閉塞した現状を痛切に浮き彫りにしてみせた。