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グランドスラム全4大会生中継

第318回 全米オープンの見どころ①
A・ズベレフやムグルッサはさらに躍進するでしょうか
2回に分けて全米オープンの見どころを書いていきます。
今大会はジョコビッチ、ワウリンカ、そして錦織選手と、トップ選手の欠場が多くなってしまいました。全米は大会が始まってからの棄権、途中棄権が目立つ大会ではありましたが、開幕からこれほどビッグネームが欠けるのは、近年にはないことです。ツアーの過酷さが増していると言われますが、ケガ人が相次ぐ現状を運営側は問題視し、真剣に考えるべきでしょう。これはツアーに突きつけられた課題だと思います。
その中で、今シーズンのツアーの主役であるフェデラーは当然、優勝候補です。全豪とウィンブルドンを制した彼が、グランドスラム4つのうちの3つ目を取ってしまうのか。今大会の大きな焦点です。
フェデラー以外に目をむけると、もっとも勢いがあるのがアレクサンダー・ズベレフです。前哨戦のモントリオールではフェデラーにも勝っていますが、実はグランドスラムではまだ上位進出がありません。3セットと5セットマッチでは違いますし、1週間のトーナメントと2週間のトーナメントでも大きな違いがあります。四大大会では経験が物を言うと言われますが、彼が好成績を収めていない要因もそこにあるのかもしれません。ただ、彼にとってこの全米がきっかけになるような予感もします。
もちろん、世界ランキング1位に返り咲いたナダルや、前哨戦で優勝したディミトロフにも優勝の可能性があります。こう見ていくと、ビッグネームがいくつも欠けている割に、見どころや注目選手の多い大会になりそうです。
女子に目を移すと、優勝争いと並行して、カロリーナ・プリスコバとハレプの世界ランキング・ナンバーワン争いが焦点のひとつです。2位のハレプが僅差で迫り、今大会の結果次第で女王交代もありえます。
前哨戦のシンシナティで優勝したのはムグルッサでした。決勝でハレプにわずか1ゲームしか与えない、劇的な優勝でした。前回のコラムで書いたように、彼女はウィンブルドンで優勝しても冷静で、勝って当然のように振る舞っていましたが、この結果を見ると、そうした心の持ちようがうまく作用しているのかなと思います。全仏で四大大会初優勝した時とはレベルが違う彼女がいるような気がします。
そのムグルッサが女王になる可能性も徐々に高くなってきました。立ち居振る舞いにもすでに女王の風格を感じます。人間的にもナンバーワンにふさわしい“中味”を持っていて、さらに華やかさも兼ね備えた選手ですね。そういう選手が女王の座に着くとツアーは盛り上がるでしょう。
前哨戦のひとつ、トロントの優勝はスビトリーナでした。今季だけで5つ目のタイトルです。1年を通して好調を維持し、今、一番安定している選手と言っても過言ではないでしょう。
ほかには、アメリカ勢が再び黄金時代を迎えようかという勢いです。前哨戦ではキーズ、スティーブンス、バンダウェーらが活躍。さらに、若いベリスもいます。
キーズはコーチのリンゼイ・ダベンポートさんとの相性のよさを感じます。キーズが故障から戻ってきた頃、リンゼイは「彼女はよくなるわよ」と話していたのですが、その言葉通りの成績です。この2人は、クリーンな当たり、厚い当たりを持っているところなどテニスも似ていますし、コーチがうまくリードしていると想像できます。
スティーブンスは、フォームに力感がまったくないのにボールの威力は素晴らしく、これは才能だなと思わされる選手です。ただ、以前はプレーがあっさりしていて、ポテンシャルが十分には発揮されていませんでした。彼女もまた、故障を経て気持ちの面で大きな変化があったように感じられます。
アザレンカはお子さんの親権をめぐる元パートナーとのトラブルで、欠場が決定しました。ついこの間、仲むつまじい姿を見て、本人とも話していたので、ショッキングなニュースでした。
シャラポワはワイルドカードでの出場が確定しました。復帰後も故障がちで、大会にはあまり出ていませんが、彼女のことですから、しっかり準備して万全の状態で出てくると思います。
出場停止明けの彼女に大会側がワイルドカードを与えることで、バッシングが起きましたが、彼女自身はなんとも思っていないでしょう。自分のプレーをよくすることしか考えていないと思います。トレーニングも順調に積めているようです。これまでも常に彼女はプロフェッショナル精神を見せてきましたが、今回も調整してベストパフォーマンスを見せると想像できます。上位に食い込んでくるのは可能性が高いと思います。
ただ、試合の緊張の中で体を動かし続ける負荷はトレーニングとは別のものなので、2週間7試合を戦いきる持久力、体力があるか、というのは「?」マークです。そこもまた注目ポイントですね。
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