映画

廃市

大林宣彦監督が、福永武彦の同名小説を映画化。とある古びた運河の町を舞台に、そこを訪れた青年が見聞するひと夏の出来事を叙情的ムード満点に切なく綴った文芸ドラマ。

「転校生（1982）」や「時をかける少女（1983）」などで当時快進撃を続けていた大林監督が、敬愛する作家・福永の同名小説を映画化。〈日本のベニス〉とも称される水の都・福岡県柳川市でオールロケを行ない、原作の持つ私小説的な雰囲気を出すために16ミリフィルムで撮影を敢行。低予算の小品ながら、芸術的な香りあふれる会心作に仕上がった。脚本家のジェームス三木を父に持つ山下規介が、物語の狂言回し的な役割を担う主人公の青年に抜擢され、本作で俳優デビュー。共演は、小林聡美、根岸季衣ほか。