映画

あ・うん

主演・高倉健＆監督・降旗康男という名コンビが向田邦子の原作を映画化。昭和１０年代前半、東京の山の手で男女が織り成す交流をペーソスたっぷりに描いた人間模様ドラマ。

大スター高倉の主演も見ものだが、本作の最大の話題は、1960～70年代、東映の2大シリーズ「緋牡丹博徒」「日本女侠伝」で一世を風靡したスーパースター藤純子が、富司純子と改名して17年ぶりに銀幕へカムバックしたことだろう。コミカルな役作りに挑んだ健さんと富司のコンビネーションは東映時代と変わらずに息がぴったりで、映画ファンにはうれしいプレゼントとなった。時間の進行を、美しい春夏秋冬の移り変わりに反映させた映像美（撮影を担当したのは高倉主演「夜叉」などの名手・木村大作）も逸品だ。