無敗王者リオス、初防衛戦で強豪アンティロンを迎え撃つ!
WBA世界ライト級タイトルマッチ
WBA世界ライト級チャンピオン
ブランドン・リオス
(アメリカ)
WBA世界ライト級12位
ウルバノ・アンティロン
(メキシコ)
激闘型同士の強打者対決
序盤から壮絶な打撃戦は必至
この2月、ミゲール・アコスタ(ベネズエラ)を豪快な10回TKOに屠って戴冠を果たしたリオスの初防衛戦。挑戦者は30戦28勝(20KO)2敗の好戦型アンティロン。ともに激闘型ということもあり、序盤から激しい打撃戦に突入することは確実と思われる。
リオスは8歳のときに兄と一緒にボクシングを始め、アマチュアでは400戦以上を経験。本人によると「100回ぐらい負けたかな」ということだ。04年のアテネ五輪の国内予選では最終ステージまで残ったが本戦出場は逃している。いずれにしても尋常ではない経験を積んでいることになる。
有力者キャメロン・ダンキン・マネージャー、トップランク社と組んで04年7月にプロ転向。以来、28戦27勝(20KO)1分と無敗をキープしている。キャリアの途中まではイージーなマッチメークも目立ったが、この2年ほどはハード路線が敷かれてきた。10年2月にNABF北米ライト級タイトルを獲得して世界上位に躍進。9月には30戦全勝のアンソニー・ピーターソン(アメリカ)との無敗対決で完勝(7回反則勝ち)。今年2月のアコスタ戦では序盤こそ先制を許したものの6、8、10回にダウンを奪って逆転。終わってみれば圧勝だった。
タフネスと旺盛なスタミナを武器に接近を図り、中近距離で連打をまとめるファイター型。肉を切らせて骨を断つスタイルを確立している。25歳という若さも武器といえる。
対するアンティロンは2度の来日経験を持つ強打者で、これが3度目の世界アタックとなる。アマチュアで全米ゴールデン・グローブ大会優勝後にプロデビュー。翌01年2月、両国国技館で行われた畑山隆則(横浜光)対リック吉村(石川)の前座に登場し、1回KO勝ちを飾っている。07年にはホルへ・リナレス(帝拳)のスパーリング・パートナーとして来日。重要な任務を果たしたあと後楽園ホールのリングに上がり、タイ人に2回TKO勝ちを収めている。
当時はテクニックにも光るものが感じられたが、最近は自ら距離を潰して相手にプレッシャーをかける好戦的なスタイルに変貌を遂げた感がある。初の世界戦は09年7月で、このときはアコスタのアッパーを浴びて9回TKO負け。昨年12月、再び世界タイトルに挑んだが、このときはWBC王者ウンベルト・ソト(メキシコ)と激闘を展開したすえ小差の判定負けに退いている。5月にソトとの再戦が決まっていたが、それを反故にしてリオスに挑むことになった。
ともに激闘型ということで、序盤から激しい打撃戦が約束された試合といえる。体格や経験値にほとんど差がないだけに、気持ちや耐久力が勝負のカギになりそうだ。勢いに乗るリオス有利は不動だが、アンティロンにもチャンスは十分にある。
Written by ボクシングライター原功
ホルへ・リナレス
ライト級トップ戦線の現状
WBAスーパー:ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)
WBA:ブランドン・リオス(アメリカ)
WBA暫定:ロバート・ゲレロ(アメリカ)
WBC:空位
IBF:ミゲール・バスケス(メキシコ)
WBO:ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)
WBO暫定:ロバート・ゲレロ(アメリカ)
3階級制覇王者マルケスが実力、実績で頭ひとつリードしているが、11月にマニー・パッキャオ(フィリピン)の持つWBO世界ウェルター級タイトルに挑戦が決まっており、このクラスにいつまで留まるか分からない。同様にWBAとWBOの暫定王者ゲレロもS・ライト級王者マルコス・マイダナ(アルゼンチン)への挑戦が決まっており、結果しだいではこのクラスを去る可能性もある。
そんななかリオスとバスケスは、しばらくの間は135ポンド(ライト級)に留まりそうな気配だ。特に打撃戦を好むリオスは今後の活躍しだいではスター選手に育つ可能性があるだけに要注目といえる。
ランカー陣では、なんといってもホルへ・リナレス(帝拳)に注目だ。ウンベルト・ソト(メキシコ)が返上した王座の決定戦に出場する可能性もあるだけに、動向から目が離せない。WBC1位の元暫定王者アントニオ・デマルコ(メキシコ)にも着目したい。
S・ウェルター級10回戦
元IBF世界ウェルター級チャンピオン
カーミット・シントロン
(プエルトリコ)
元NABO北米S・ウェルター級チャンピオン
カルロス・モリナ
(メキシコ)
元世界王者 VS ララと引き分けた男
トップ戦線残留をかけたサバイバル戦
元IBF世界ウェルター級王者シントロンとIBFランキング10位のモリナ。トップ戦線残留をかけた重要な一戦だ。
シントロンは36戦32勝(28KO)3敗1分の戦績を誇るスラッガーで、KO率は80パーセントに近い。このところアントニオ・マルガリート(メキシコ)、セルヒオ・マルチネス(アルゼンチン)、アルフレド・アングロ(メキシコ)、ポール・ウィリアムス(アメリカ)と強豪との対戦が続いたこともあってKO勝利が減ってきているが、左右ともにパンチ力は群を抜く破壊力がある。結果として長丁場を戦い抜いてきたことで経験値は格段に上がったといえる。昨年5月のウィリアムス戦でリング外に転落するというアクシデントに見舞われ、それ以来の再起戦となる。
対するモリナは世界的な知名度ではシントロンに及ばないが、この3月、エリスランディ・ララ(キューバ)と引き分けて株を上げている。2年前にはNABO北米タイトルを獲得しており、さらに遡れば05年12月にはフリオ・セサール・チャベス・ジュニア(メキシコ=現WBC世界ミドル級王者)と6回引き分けの記録もある。
体格、パワーではシントロンが勝るが、1年以上のブランクは気になるところ。モリナが序盤で勢いに乗ると、試合は接戦になる可能性もある。
Written by ボクシングライター原功
クルーザー級4回戦
アメリカ・L・ヘビー級
マイク・リー
(アメリカ)
アメリカ・S・ミドル級
マイケル・バースマーク
(アメリカ)
トップランク社の精鋭たち
6階級制覇王者マニー・パッキャオ(フィリピン)をはじめファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)、ノニト・ドネア(フィリピン)、ブランドン・リオス(アメリカ)、ミゲール・コット(プエルトリコ)、フリオ・セサール・チャベス・ジュニア(メキシコ)といったスター選手を抱える業界最大手のプロモーション、トップランク社。次期チャンピオン候補と目されるミゲール・ガルシア(アメリカ)、マイク・ジョーンズ(アメリカ)、マット・コロボフ(ロシア)と、次世代のホープも数多く傘下に置いている。
さらに2年後、3年後にタイトル争いをすると思われる将来のチャンピオン候補も枚挙にいとまがない。ホセ・ベナビデス(アメリカ)、ミッキー・ベイ(アメリカ)、オマール・チャベス(メキシコ)、ポール・フレミング(オーストラリア)……。
10年5月のプロデビューから5戦全勝(3KO)の快進撃を続ける24歳のライト・ヘビー級、マイク・リー(アメリカ)も、そんな「明後日のホープ」のひとりだ。今回はマイケル・バースマーク(アメリカ=27歳、7戦2勝1KO5敗)との一戦を紹介する。
Written by ボクシングライター原功